6月10日

朝から大雨。そんな日には家で読書に限る。

 

再読がないのならそれは読書じゃないと師匠が言った。本だけじゃなくて、映画もそうだとおもった。自分が無知だと(あるいは、成長したと)気づくのはその作品のすごさに気づいていなかったことに、気づいたときだと思う。同じ作品を何回も通ることによって確認ができる。あっ、師匠のメッセージを読み返して、「そもそも」から入っていたんだ!とそのすごさに今日の朝が気づいた。

 

今日から食事に注意を払う。健康的なというとチープに聞こえるのだけど、この数ヶ月で学んだ食事と健康のことについて。(1)悪いものを入れないこと、(2)デトックス、(3)いいものを入れること の順序で行なっていくこと。まずは、数ヶ月、(1)悪いものを入れないことを続ける。それだけで、体の軽さや寝起きの良さ、気分が変わるのは実証済みなのだけど(昨年の10月からしばらく実験していた)、ここ数ヶ月なまけていたので、もういちど(1)からやり直す。

 

平日は朝昼晩の3食、休日は朝昼(ブランチ)と夕食の2食にしようとおもう。今日は休日、ブランチの献立は、野菜チャーハン。キャベツ、ニラ、きくらげ。味付けは塩胡椒とたまり醤油。うまい!

 

数日後に東京からやってくる友人と会う。当日の夕食はどうしようか、あれやこれや考えるだけで楽しい。旅もいいし、こうやって、旅をして出会った気の合う友人とたまに会うのもいい。東京の友人が週末に関西に来るからぜひあいましょう!と、声をかけてくれたから、今週はそれだけで楽しい。星の王子さまのキツネの気持ちがわかる。友だちをどうもてなそうか。手みやげは、たねやのバームクーヘンに決め、ひとまず近江八幡のラ・コリーナに行く(出発前に、白洲正子『近江山河抄』を読む)。

 

雨の平日のラコリーナにはたくさんのひとがいて一刻も早く立ち去りたかったが、友人への手土産を買いに来たのだから、目的を果たさないわけにはいかないと意を決して、小麦粉と卵と砂糖でできたスイーツを求める(地獄行きの)行列に並ぶ。ちょうど並んだ列の横にたねやの作っている冊子が置いてあって、以前にもおつかいで訪れたときの待ち時間に読んでおもしろかったことを思い出した。2歩進んで一分待つ行列でじっくり読む。

 

ラコリーナで目的を果たし、白洲正子『近江山河抄』に出てくる近江平野を激しい雨の中、車で回る。この冊子が面白いと思ったのは、「そもそも」がしっかりと記されており、登場人物や写真家が近江出身のひとだから。読後感はというと、懐かしさを孕んだ寂びのようだった。少し物足りないなと感じたのは、そうだな、「環境に配慮している」「オーガニック」「地産地消」が「伝統的な」としか結びついていないからか。ぼくはそこに「先端的な」を付け加えたい。昔日を懐かしむ気持ちも楽しいし、ちょっと先(それこそ翌週の友人との再会)のわくわくの、過去と未来の両方を方法を持って生活で表現したい。ぼくが本当に楽しいと思うものは、その両方を兼ね備えているもの。過去と未来は分けるものではなく、共存し、二項対立ではなく、二項同体となるとおもう。昔日の懐かしさと未来へのワクワクって二項胴体になるとおもう。

 

「人生を楽しく過ごすには健康と健全な思考が大切」だとお考えならば、距離を置くのは、コンビニやスーパーだけでなく、マスメディアも同じであると、小麦と砂糖が教えています。」と師匠。

 

そうそう、その冊子に出て来た伊吹で陶芸をされている市川孝さんが気になったので、機会があれば訪れようとおもう。

 

そうそうそう、数年前に黒いズボンがほしいとおもってインスタントに無印で購入した黒いズボンを今日履いて見たらその質感にがっかりした。がっかりしたことにおいて、ズボンはまったく悪くないし無印も悪くない。悪いのは僕で、でも、その「がっかり」した気持ちには向き合いたい。日々の生活で自分は何に感情を揺り動かされたのかを観察することって、カウンターな姿勢の第一歩だと思う。大切にしたい。衣服とは、古代の刺青と同じで、それは綾であって、ぼくはデザインというより素材に意志や反抗を表したいと思いはじめている。

 

風呂上がりに居間で本を読んでいると、台所で父母の会話が漏れてきた。父は今年組長で(といっても「暴力的な」でなく地域の小グループの長)、いろいろに文句たらたらいう割に、自分でやろうとしない口だけな態度に呆れる。責任も無責任も引き受けないでなにができようか。こういう態度が嫌いで、父がこういう態度を示せば示すほど、ぼくの反抗心は育つ。

 

千夜千冊804夜の辻井喬『伝統の創造力』には、「何かの勘違いで伝統文化の意味をとりちがえた人たちが多数派となって、伝統文化の上に胡座をかいているのではないかという疑問。」とある。その疑問にどう答えていこうか。

 

寝る前に、6月に読む本を選ぶ。テーマは稽古の本、方法の本。とおもいながら、千夜千冊を読んでいたら、ハイパーリンクが張り巡らされているから、次から次へと読みたい本が立ち現れて来る。堀辰雄『風立ちぬ』、福嶋聡『書店人のしごと』『書店人のこころ』、プラネタリーブックス『月と幻想科学』、堀田善衞『定家明月記私抄』をつられて購入。6月丸々雨が降りつづければいいのに。