1月19日

場には力がある。ヒトに力があるのではない。ヒトは場に力を借りているだけだ。影響を受けているだけだ。

 

息が詰まって、なんかうまくいかないときには、移動し、場を変える。新年が明けてから今日まで、職場と自宅の移動だけだったから、山積みの課題を見ないふりして、しれっと湖北へ車を走らせる7時30分。

 

昨夜1時過ぎ、ソロー『歩く』、白洲正子『かくれ里』を読んで、心は決まっていた。6時に起きて湖北へ行こうと決意するが、7時30分に家を出た。『かくれ里』の冒頭部分に、「お能には橋掛り、歌舞伎にも花道があるように、とかく人生は結果より、そこへ行き着くまでの道中の方に魅力があるようだ」とある。

 

名神米原で降りて、伊吹山のふもとの県道を木材を積んだ大型トレーラーの後ろをゆっくり走り、木之本の道の駅で鴨そばを食べ、余呉湖を一周し、ちかくのスーパーで鴨肉を買い、琵琶湖と伊吹山を横目に、コムアイとSound Cloudにある坂口恭平さんの歌をかけっ放して、高速道路をゆっくり走りながら帰ってきた。

 

こうして心をからぽにしたらば、さて、残るひとつきの修行期間をひた走ろうとおもう。さすれば、おのずと、次の道が見えてくるであろう。「寂しいけれども暗くはなく、しっとりとしていても、湿っぽくはない」。白洲さんの語る湖北の力を借りて。