8月23日

起きてから寝るまでの間中ずっと雨が降り続いている。植草甚一は雨の日にミステリーを読むように、ぼくは雨の日にMiho Museumへ向かう。開催予定のときから気になっていた「紫香楽宮と甲賀の神仏」展へ。聖武天皇が紫香楽の宮に遷都しようとおもったのが約1300年前。現代はステレオタイプだけが抽出されすぐに使い捨て消費される時代(使って捨てるって一番消費がサイクルが早いからね)。なにも知らない日本、生まれ育った郷里のアーキタイプを知るまたとない機会であった。「そもそも」を探求するのがたのしいここ最近である。

 

・甲賀地域というのは日本において公や在野問わずたくさんの仏像が作られた

・それには、聖武天皇が紫香楽の宮に遷都しようとし、なおかつ、大工事が着工していたため、その職人たちがたくさんこの辺りに集まっていた

・聖武天皇は華厳に救いを求めた

・聖武天皇の紫香楽宮建設にあたっての文章(1300年前)があり、そこに、その時代の国のトップが「私には力がないけれど」なんて書かれてあった

・遺跡発掘で1300年前の檜の柱が発見され、それがここで僕の目の前に置かれていること、1300年前の天平年間の漢字で書かれた文章が(ぼくには意味はわからないが)読めるものとして残されていることに、圧縮された時間がこの一瞬解凍されたように感じた

・手乗りサイズの仏像の意義を考えた

・やはりMiho Museumは雨の平日に訪れるのがいい

 

コーヒーアディクションであり、活字中毒である。寝る前に、読みかけの本をつまみ食いのように少しずつ読む。よく集中しろ!と体育会な指導者は言うが、ひとの意識は一点に留まるのではなく、目まぐるしく散りじりに動いている。ひとつどころに留まることの方が不自然なのなのだとしたら、意識のゆらぎのおもうままに、そのとき気になったものを手に取る読書をする。ハイパーテキストのリンクのように何かを読んでいるときに別の何かを思い出すことが、読書の一つの楽しみなのだ。

 

本日の意識のゆらぎをたどる。明日は高野山に寄ろうと思うので、松岡正剛『空海の夢』を読む。為末大さんが「なぜ学んでない人を見てずるいと思うのか。しめしめと思わないのはなぜなのか。」とつぶやいたのに対してしめしめと思い、食べ物を選ぶ際のコツについて師匠が「原材料にとらわれず、いい商品は大量生産できない」と言ったのをそりゃそうだとおもったが鋭いとおもい、また「国家財政破綻などの強力なリセットがおこるまで基本的に何も変わらないからそのときのためにいまのうちから準備しておくこと」と気を引き締め、「毎日自分で学んだことを体系化して、自分の取り扱い説明書を作るつもりじゃないと難しいですよ。」と。そレから、師範代からのシェアで、アレックス・カーさんの記事(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00069/081600003/?P=1)を読み、雨のため日光を浴びてないからメラトニンを飲んでおやすみなさい。

 

そうそう、師匠より。

 

このようなことから、個々が国際ニュースや世界的動向に目を見張らねば、大きな落とし穴に陥ってしまい、行き先を見失います。 ちなみに、今週の大ニュースは、BBCが報じたアメリカ最大規模の経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、数十年にわたって資本主義を推進してきた「株主第一主義を廃止する」と発表したニュースです(https://bbc.in/31YZGpQ)。これは驚きで、ミルトン・フリードマンが提唱した「新自由主義」、僕が言うところの「資本家主義」が、ついに終焉を迎えるかもしれません。「アメリカ全国民を助ける経済を推進するため企業の目的を再定義する」と銘打たれ、180人以上の企業トップが署名した中には、アマゾンやJPモルガン・チェースなどのCEOも名を連ねています。まさに、歴史の転換点ですが、日本のタレントが出るCM漬けのテレビで報道されることは、まずないでしょう。いま世界は、急速に変わろうとしています。それを見誤らないために、個々で「正しい世界の見方」を理解しなければなりません。遠くないいつの日か、日本が世界と本気で繋がらなければやっていけない時に備えて。