5月29日

午前中の仕事は、外来種の花を根っこから余すところなく引っこ抜くことだった。無心で引っこ抜きながら、食事業界の真のブームは悪いものを食べないことだと師匠が言ったのを思い出した。まだ引っこ抜きながら、もうすぐ6月だなとふと気づき、6月は『風姿家伝』を読まねばとおもいはじめた。まだまだ引っこ抜きながら、最近読む本には、「たくさんのわたし」を推奨する文章が多い。そしてぼくもそうなりたいとおもっている。

 

なぜそうなりたいとおもったかというと、1)ひとつは、師匠は皆そうだから。ある師匠は、カメラマン、作家、クリエイター、サプリメント評論家、メーカーズ、サンセットハンターほかにもある。2)ひとつは、会社勤めの親が働いている以外のことを疎かにしていて、遊びがないのが楽しそうに見えないへの反抗である。定年後に好きなことをして過ごすんだと意気込んだものの、待っていたのは、「もっと働け」の掛け声と、「やりたいこと」の損失と、「思い通りに動かない」身体だった。いま楽しいと思うことは後回しにはぜったいにしない。3)他分野のいいものを別分野に取り入れることの楽しさはたまらない。このこと、インタースコアをいう。

 

というわけで、6月から10月までの間はなにを学ぼうか考えている(例年で言うと落ち込む時期であるから長い目で見ている。10月からは学校へ通う)。本気でやるために、年間予算は10万円の自己投資。心構えは、クリーンインストール。安い矜持を捨て、自己を空っぽにする。満杯のコップに水を注いでもこぼれるだけ。

 

夕方、先輩からメールが届く。玉石混交とはいえ、東京にはひとも情報も集まる。東京に住む先輩からとっておきの情報を得たが、その場には行けないので、代わりに頼みごとをした。普段住む場所は田舎がいいが、いいものを聞きつけたら、高速移動できるような体制を作りたい。今日は世界が少し動いただろう一日。ひとりのクリエイターによって、イノベーターは動き始めた。

 

日課のストレッチとスクワットをし、『食のパラドックス』を読んで寝る。