12月12日

ひまわりと聞くと夏を連想する。うつむくひまわりと聞くと夏の終わりを連想する。言葉はイメージを孕んでいる。言葉にイメージはぴたっと張り付いている。わざわざ夏の終わりを言葉で説明しなくてもいい。夏の終わりは、うつむくひまわりに任せればいい。

 

仕事中に突然強い風が吹いた。鈴鹿おろし。ヤマトタケルはこれにやられた。なぜか一日、「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」が頭に去来する。仕事を終え帰宅途中の西へ日が沈んだあと、夕日の残照が少し残っている刻に、世界が一瞬モノクロになった。木々がかたちどられ色彩はまっ黒なのに、明るいときに見る木々よりもくっきりと木々を感じる。ないものは想像で補うのがひとなのだ。キセルのハナレバナレを聴きながらお家へ帰る。