2月13日

坂口恭平の『アポロン』を口ずさみながら、仕事をする。ぼくの行くべき方向や読むべき本、耳を傾けるべき音楽、出会うべきひとは、自ずと未来からやってくる、という感覚を今日はっきりと感じた。未来は過去に原因があると思っていたけれど、メンターに時間は未来から過去に流れていると聞いた。

 

先日購入した坂口恭平の『アポロン』のバンドメンバーに寺尾紗穂という名前を見た。先週末に京都の恵文社で本を選んでいたら、寺尾紗穂さんの本があった。YouTubeを聞いてたら、Joni MitchellのA case of youのカバーが流れてきて、歌っていたのが寺尾紗穂さんだった。そこまで、頻繁に目が合うと、Googleで調べてみる。というより。そこまで目が合うまで、サーチエンジンで調べないようにしている。インターネットで容易に調べられるからこそ、ある事象や出会いと自分との関係をインスタントにしたくはない。自分自身で制限をかけなければ、水はダダ漏れになって、情報の海で溺れてしまうような気がする。情報の蛇口は小さいほうがいい。

 

仕事の移動中の車内で、宮本常一さんの『忘れられた日本人』のはなしになる。歴史は教科書や調査書や本に書かれているものだとおもいがちだけど、もちろんそれ以外にもある。文面にあらわれない口伝えのものもそのひとつ。『忘れられた日本人』の土佐源氏はそういう話で、それも歴史や文化の一部なのだ。どっちが正しいかではなく、どちらも現実で歴史なのだ。

 

問題を解決するときに大切なのは、それぞれがその問題を自分ごととして知り、考えることだとおもう。それは、戦争のことも、社会のことも、文化のことも、生活のことも、食べ物のことも、すべてにおいて。まずは、個人で考えること。だからぼくが感じたことを、ここに記していきたい。読者がどれくらいいるのかなんてわからないけれど、果たしているのか?、ここにぼくの現実があって、一部だけど、ああこんな世界も実際にあるのかと感じて、別の世界があることを認知し、自由な考えを持っていてもいいとうことを伝えたい。

 

ずっと前から変わらずぼくの姿勢はこうだ。ぼくにはぼくの手の届く距離のひとにしか手をさしのべられない。だから、その人たちに、ぼくの精一杯尽くそうとおもう。同じように、その人たちもその人たちが手の届く距離のひとに優しくしてくれればいい。Pay it forward. 手を広げても届かないとダメだし、広げすぎると焦点があわなくなってしまう。手の届くひとの一次情報を、直接会って聞いた話を、個人的でひとりよがりな好みや小さな声を、ぼくはなにより大切にしたい。毎日書いているこの記録を読んでくれる変わり者のあなたへ向けて。

 

そうそう、坂口恭平さんと石牟礼道子さんの歌に震えた。

 

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