4月6日

昨日に引き続き、あるお宅の支障木の伐採。仕事後、お茶を用意していただいたのでいただく。そこで、家主と喋る。その庭はとても素敵で花が咲き乱れていた。聞くと、これは植えたものでもなんでもなくて、ここらで自然と生えてくる実生の雑木ばかりだという。いま山は、杉とヒノキでぎゅうぎゅうになっているけれど、このお宅の庭のような山が僕は好きだ。

 

それから、このお宅、昨夏に茅葺きを敷き直している。家の前を通るたびにいつも見ていたから、そのことを尋ねると、奈良から80才のお爺さんが来て、屋根にのぼって、80日で茅を敷いたのだという。驚きだ。茅葺きに使う茅は、ススキを使っている。ススキはススキなのだけど、ススキには2種類あって細いのと太いのがあるという。使うのは細いススキで、違いはというと、夏前に一度ススキを刈り取って、そこからまた生えてくる細いススキを使うそうだ。

 

このお宅、伊賀の道を車で走っていると、目が引きつけられる。田の真ん中にどかんと大きな土塁に囲まれて鎮座している。田んぼの間を通る全長30メートル幅2メートルほどの道があって、その先に高さ3メートルほどの土塁に囲まれた茅葺きのお宅がある。その土塁の見事さと、土塁や庭に生えている大きなケヤキを中心とした、常緑樹や落葉広葉樹は見事で、超素敵。といっても、私邸のため中には入れない。ほとんどのひとは道の外から田んぼの真ん中で異彩を放っているのを眺めるだけになっている。運良く、仕事として、中に入らせてもらい、話を伺える。

 

ということを考えると、仕事というのは、働き始める前までは、あるいは働きはじめてすぐの頃は、早く帰りたいとおもっていたり、仕事とプライベートは別だと考えていたのだけれど、最近はまったくもって、ウェルカム公私混同なのだ。仕事をしていなきゃ入れない場所は、あって、出会えない人はいるのだから。遊んで知り合ったひとと仕事をする、を求めていきたいとおもった。生きたい場所や会いたい人がいるならそのほうが窓口は広い。なにかあれば、仕事ですからといえばいいのだから。