7月8日

◆7時に起きて窓を開け、そばの椅子に座って、レイ・ブラッドレイの『たんぽぽのお酒』を読む。雨は降っていないが、道は濡れている。遠くの方でかすかにざわざわと音がする。

◆友人との読書会にむけて、『たんぽぽのお酒』を読んでいる。本を読んでいるときに、ふと現れるワードは、「記憶の記録」。現代の記憶といえば、ハードウェア、クラウド、外部記憶などが思い浮かぶ。たんぽぽのお酒に詰め込んだのは、一夏の記憶であり、それは、匂いや音や出来事だった。8時、雨の音が近づいて来る。

◆夕方、遠くで虫の音が聞こえる。雨は上がっている。おかんが帰って来てすぐ、料理担当の親父がシチューを食べるために深さのない平皿を用意しているのを見て、考えられないと言った。最近、ポッドキャストで「働くことの文化人類学」を聞いている僕は、その皿でシチューを食べることができないことが考えられへん、と言った。兎角凝りがちな頭を解してやれば、ある皿はあることにしか使えないというのは幻想だと気づく。現代の閉塞感は、頭の凝りにある。

◆言い方が大事です。同じ内容を発言するとして、言い方によって、相手を怒らせも喜ばせもし、恐れさせも安心させもする。怒っても仕方がないのです。大事な叱咤を除いて、自己の正当性をアピールしたり、機嫌で物言う人のそばからは、離れてください。ご機嫌な生活の秘訣です。