6月23日

◆言ってしまえば、勉強がおもしろくないのは、世界を変えたことがないからだとおもう。世界を変えるなんてそんな大ごとではない。世の中を見る認識が変わった瞬間に気づいたことがあるかないかだとおもう。その「さしかかり」を見つめる。

◆母家の工事が始まった。仕事から帰宅したら、母家はまだ取り壊されていなかった。前庭が掘り返されていた。家の中はもぬけの殻でひっそりとしていた。ものがなくなるにつれ、本来の機能が取り戻されていくように思う。家の本来の機能とは、ものを貯めることでなく、快適に過ごすことだとおもう。ものを揃えれば快適に過ごせるのではない。広い空間に、湯呑みと土瓶と一冊の本と一輪の花さえあればいい。

◆ぼくの寝室におかんが大量の荷物と一緒に引っ越してきた。かなりの荷物を捨ててきたと言っていたが、寝室を覗いてみると、かなりの荷物が部屋を埋めていた。人の余裕は部屋のスペースの大きさに比例するのだとおもう。

◆もの選びの基準を言葉にしたほうがいい。どんなものを選ぶのか。ぼくは、パタゴニア創始者イヴォン・シュイナード『社員をサーフィンに行かせよう』を10年くらい前に読んで、ものさしの参考にした。久しぶりに読み返すと、「知識があればあるほど、必要なものは少なくなる」とある。50年代、60年代に生まれたおとんもおかんも、足し算の世代で増やすのはめっぽう得意だが、いちど増やしたものを減らすのは苦手。あれがないと、これがないと生きていけないとばかり口にする。「やめる」気持ち良さを味わってもらいたいのだが、いまのところ「やめる」恐怖が優勢にゲームを進めている。

◆友人からもらったカヴァランをクイっと一口飲んで就寝。