6月4日

◆雨が降っているから、田中一村展へ。京都駅にある美術館にて。受付はソバージュの女性。一村の背景は薄い黒、主題は鮮やかな奄美の動植物。植物の輪郭はぼんやり枝葉はしっかり。対象のちょっと気になる瞬間をとらえる70mm前後の画角のスナップ。部分から生まれるのは全体への想像。部分から生まれるのは切り取られた特徴。木の枝のうねり、馬の跳ね上げた尻尾。彼が50歳で一念発起して奄美にたどり着いたとき、奄美は黒かったといった。その後奄美の圧倒的な色彩を描く彼がそう言ったのは、降り立った瞬間の彼の心情がそう言わせたのではないか。しかし、負を背負わなくて、傷を負わなくては、なにも描けないではないか。

◆一村の展示にて、よく見ること、つづけること、好きなことをするために好きなことで稼ぐこと。これって、今読んでいる連載、坂口恭平『生きのびるための事務』そのものだ!

◆美術館の道中、京都駅地下のショッピング街を練り歩く。雨の平日で緊急事態宣言下の人出ではない人混み。ヨドバシカメラの店内入り口の大広告はHUAWEI

◆京都へ行ったから、ルプチメックに立ち寄って、テイクアウトでジャガイモパンを買う。粗い塩「ガリっ」と生地の「もっちり」の歯応え、塩味と甘さのコンビネーションがたまらん。いつもふたつ買う。

田中一村展は写真禁止。熊本の坂口恭平パステル展はバシバシ写真オーケー。どちらが21世紀的か。一村展の最後にあったお土産コーナーは資本主義真っ只中。