2月24日

仕事から帰宅したら、階段に置いてあったドミニク・チェン『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』を寝る前に少し読む。早春の暖かくはないが寒くもない夜風を取り込もうと窓を開けて布団にくるまる。「表現には、その形式に固有の環世界が立ち現れるのだ」と冒頭のドゥールーズの言葉を借りた一文を読みいろいろな感情が現れた。真っ先に現れたのは、スーザン・ソンタグの「スタイル」だった。そもそも、松岡正剛さんとの対談本『謎床』でドミニクさんのことを知った。そのあと、本著の元になったウェブ連載をつまみ読みしていた。昨夏にはあいちトリエンナーレに行こうと思った。注意のカーソルが、ドミニク・チェンに反応するようになった。

 

編集学校の稽古を終え、4ヶ月の睡眠不足の穴を埋めるように、眠りこけているここのところ、ドミニク・チェン『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』と坂口恭平『まとまらない人』を並行して読んでいると、言葉とは、について考える時間が増えている。とはいえ、いま知っている言葉の概念なんか、これから出会う言葉によって上書き保存されるのだろうから、それなら、いまは4ヶ月の間あまり読めなかった本を貪り読もうと決め込んで、ベッドの中で本を読み進める。そういや、メルカリで頼んだ石牟礼道子『道子の草文』が明日届くそうな。

 

無数の「はじめて」を経てもなお、わたしたちが世界を知り尽くすことはない。(ドミニク・チェン『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』)