12月28日
22時30分ごろ、鈴鹿山脈を西から東に超えて、湯の山温泉へ。1時間ぐらい湯けむりに紛れながら、今年を反芻する。どれくらい浸かったのかはわからないが、今年1年を1時間に満たない時間で思い返すのだから、圧縮するか薄くするか短縮するしかない。
「なんとも言えないがとりあえず選んだ」ポアンカレの偶然、「コンティンジェンシー」の様相は、おもいもよらない別様の楽しさを際立たせた。世は顕と冥でできている。
ひさしぶりに松岡正剛『擬』を読む。大好きな一冊である。
世の中ではちぐはぐなことは、たいてい咎められてきた。変なことは嫌われる。「つもり」と「ほんと」の辻褄が合わないことも避けられる。発言や行動がちぐはぐで辻褄が合わなければ、信用されないか、疑われるか、相手にされないのがオチだ。
温泉の湯けむりは、黄昏のようで、そこにあるのに、曖昧で、夢心地である。そんな、物語を紡いでいる。