12月4日

風の冷たい一日であった。冷たい風をひといき吸い込むと、夏の暑いそれよりも、濃厚であった。空気の密度が高いからなのかもしれない。連日30度を超える夏にやっていたのと同じ仕事を今やっているけれど、運動量も質も、まったく違う。仕事の師匠は夏と冬の仕事量は3倍違うと言った。夏は涼しいところでかき氷を売って、冬にしっかり働くなんてのを想像してしまった。

 

夕方事務所に寄ると、イノシシを捌きおえた社長にばったり会った。内ロースいるか?と聞かれ、即答でいただきます、と。2020年の雲行きはどうやらあやしいようで、来年から数年間かけて、サバイバル能力をグッと伸ばしていかなければいけないかもしれない。

 

帰りしなの夕焼けにうっとりしながら、5分も走るとすっかり闇に包まれて、その間、折坂悠太を聴きながら、家路を急ぐ。

 

先達の先達、いわば、マスターヨーダーみたいな人の書いた文章を読んで、やっとその構成の仕組みの一部が理解できた。ひと味もふた味もちがう文章の書き方にはコツがあった。著作と自分との関係(その本を読んだときに一番気になったことを、その文章のスタイルで)、著者の周辺情報と著作を読んだときに気になったこととの関係、自分にしか書けないことをうまく合わせること。

 

今日からうちでは切り餅の用意ができた。まだ少し柔らかい餅を石油ストーブで焼いて、表面に焦げ目をつけ、砂糖醤油でいただく冬がはじまった。