4月26日

少したるんでいるときにタイミングのいいアドバイスはさすが師匠だなと思う。「情報や人間関係の取捨選択や時間の使い方の違いであり、人間はみな1日24時間しかないのだから」と受け止めながら、『老子』(福永光司訳)の言葉が現れた。

 

「万物作りて辞せず、生じて有せず、為して恃まず、功成りて居らず。それ唯居らず、是を以って去らず。」(一切万物が己の造化のはたらきによって生起してきても黙々として一言も語らず、万物が生成しても、それを吾がものにしようとはせず、生成化育の偉大ないとなみを行いながら手柄がおもせず、大功がしても成功者の栄位に居座らない。居すわろうとしないからこそ、その地位から去ることもないのだ。)

 

言葉が先行しているのではなく、体験や感情が先行している。なにかうまくいったことがあって、調子に乗りそうになると、じわっとどこからかこの老子の言葉がやってきて、「ダメダメ」と我が身を引き締めることができる。もし先達のアドバイスがなかったら、調子に乗っていただろうに。なんか最近の自分たるんでるわとおもったら、老子さんがでてきなすって、語りかけてくれるように思考をプログラムする。

 

老子と師匠の助言に気を引き締めようと決意したら、松岡正剛さんが「読書は本を読む前からはじまっている」というようなことを言っていたことをおもいだす。本を読めばなにかが立ち現われたり、本の中にひとつの解やヒントがあることを知っているのは、本を読んだことがあるものだけなのだ。

 

有元葉子さんの『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』を読み、坂口恭平さんの『モバイルハウス 三万円で家をつくる』を読む。なにをするにも、心と体を分けないで、繋いだまま、体につられて心を出遊させる努力が必要なんじゃないだろうか。