4月21日

朝、6時に起きて、東寺の弘法市へ。今日はあいにくいい巡り合わせがなかった。ル・プチメックのOMAKEで朝食をすませ、大原を越えて滋賀へ。窓を開けて車で走っていると、花の匂いが入ってくる。

 

練習まで時間があったので、前から気になっていた国道367号線(鯖街道)を走る。高島のほうへ流れる川に沿って国道が走っている。谷ごとにぽつりぽつりと集落があって、数軒の茅葺きにトタンがかぶせられたら民家が集っている。街中の住宅地はパズルのようにピッタリと区画を埋めるように集まっているのに対し、ここでは程度のいい広さの庭がどの家にもある。その庭は里山の集落によくある庭屋が年に数回整えるような庭ではなく、山のエネルギーの一部を借りてきた正月のような庭だった。そんな庭がぼくは好きだ。この地域の土地柄、冬が長く、切り立った谷の間の集落のため、日照時間が短く、花の開花がゆっくりめである。ちょうど木蓮がきれいに咲いていた。

 

そいうえば、仕事先の伊賀のリアル忍者屋敷で、年に数回仕事を頼まれる。そのお宅は、個人宅のため、観光客は門前払いされるのだが(本当に門があるからリアル門前払い)、家の前の道路を通ると、家の高さと同じくらいの土塁に囲まれているその圧倒的な存在に目が釘付けになる。以前に仕事の休憩中に、そちらの奥さんと話していたら、この土塁に生えている植物はほとんどこのへんで咲く花なんやでと聞いたを思い出した。そうだよな、それがいいよなあと思いながら、今和次郎、現考学を思い出す。今度訪れたら、今和次郎的にメモしよう。

 

夜、ジョン・コルトレーンを聞きながら、部屋の窓を開ける。暗くて外は見えないが、冷たい空気と春の夜の匂いが一緒になって部屋に入ってくる。この匂いがたまらなく好きだ。春はいい。