4月10日

朝から強い冷たい雨が降る。平日休みの雨が、わりかし好きなのはどこに行っても人がまばらだからなのでしょう。昼頃にいっそう強まった雨の中、運転免許の更新を終え、信楽の山の奥へ向かう。谷筋に沿って登る道を、そこに集まる薄暗い雲を突っ切りながら、奥へ奥へと進んで行く。たどり着くまでの道のりを設計しているんだろうなとおもいつつ、不安になりはじめたころに、MIHO MUSEUMに着いた。曜変天目茶碗に会いに来た。

 

ミュージアムのロータリーの脇にある曲がった竹の柵、エントランスの借景の大窓の手前に位置する350年生ケヤキのベンチ、時間と空間を入れ替える仕掛けのトンネル、手入れされた植樹、すみずみまでいい。

 

展示内容は割愛する。ひとこと、よかった。

 

帰宅後、MIHO MUSEUMの2019春の展示「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」の流れで、江戸時代の初期の寛永年間のこと、その背景のことを読む。そうそう、破草鞋は「はそうあい」と読み、禅でよく使われることばだそうだ。破れ草履、役に立たないぼろ草履とはなにか?役に立たないとは、見た目は役に立たないということ、つまり本質に目を向けると、どうだろうか?ということ、価値のつけられないことに価値がある。