3月13日

晴れ間が多く、天候が安定してきたから、そろそろ春と呼んでもいいだろうが、今日は肌寒い朝だった。

 

しずかにだまっていろんなひとのはなしに耳を傾けていると、話はステレオタイプとプロトタイプばかりで、まったくアーキタイプが語られない。「オーストラリア、給料ええらしい」「皿洗いだけでめっちゃ稼げるらしい」じゃあその背景は。

 

いろいろ思いついたことのメモ。どうやら、わたしは、読んだ本、行った場所、会ったひとの超部分に触発されて、我が身をそうでありたいと擬いていくコピーマシーンなのだろう。オリジナリティは少し前に捨てた。

 

「CHANELやVUITTONやCELINEのどれかを使っているとおもってました。ブランドや名前で買うのではなく、どう考えてもすばらしい品質のものだからという理由ですよね」とアートディレクターの友人が、先達のことを評した。先達は程度のよく扱われているVUITTONのバッグを肩に掛け、上海灘のワンピース、手土産にKAVALAN。先達曰く「上海灘のワンピースを着ることにしてみた。上海バンスキングは30年代のスウィングジャズがテーマの映画。ジャズ数奇師範への感謝表明のつもり、であった」と。このシーンを掬って、先達のようにいいものを大切に扱う数奇者に、会う人や場所に応じてムササビ変化できるようになりたいと思った。

 

こうしてぼくは、先達に引っ張られる。信頼の置ける先達に恵まれている。