2月28日

朝から昼過ぎまで強めの雨が降る。今日で2月が終わる報せの雨か。

 

遅めの朝食を昼食と兼用でとる。カレーを煮込みながら、野菜だしのスープを煮込む。煮込み時間には寺山修司『家出のすすめ』を読む。軽い気持ちで手を出したのに、寺山修司やばいね。編集術で溢れてる。シソーラスやばいね。いやぁああ、以前読んだときといまとでは、目の付け所が違う。これだから読書はやめられない。「あなたは誰?」に対して、「非戦争体験者」て。やばいね。

 

読書するときの注意の向きが変わったのが、はっきり分かる。これまでは紙面はのっぺりつるっとしていたのに、いまは紙面の少しの凹凸が見える。ザラザラな読みあたりを感じる。

 

クライミングをはじめたばかりの男は、最初はフル装備でしか壁を登れなかった。技術や知力や経験を積むにつれ、男はその壁を少ない道具で、すくない力で、短時間のうちに登れるようになった。最後には男は素手でその壁を登ることができるようになった。男には壁にある凹凸がはっきり認識できるようになっていた。時分の身体能力をはっきり把握していた。知識は、道具や装備の代わりをなすことができるのだ。

 

昼過ぎに京都へ出かける。 来週は卒業式なので身振りを整えてから、一乗寺の恵文社へ。卒業式では、コメントをつけて文庫を交換するのでその本を選ぶ。寺山修司『家出のすすめ』に決め、Amazonのほしい物リストに入っている本をチェックしたあとは、ぶらっと気になる本の表紙とタイトルを頼りに手を伸ばす。

 

昨日の星野道夫『旅をする木』の16歳の読後感がまだ残っている。別の世界を知ること。星野道夫を探すと『魔法のことば』があったので読む。冒頭、池澤夏樹さんの書評があって、はっきりとわすれたが、星野道夫はゆっくりよめ、たまによめ、とあった。わかる。『月刊「みすず」1・2月合併号(特集「読書アンケート」)』、くどうれいん『わたしを空腹にしないほうがいい』を買って店を出た。

 

今日で2月はおしまい。