2月21日

冬は寒く、春が暖かいのが季節のらしさというのなら、寒くない冬と春の間の気候の今日はなんと呼べばいいのでしょうか。言葉は曖昧です。間に注意を向けていくとどこかで名付けられない場所にたどり着きます。朝に目が覚めたら、暑かったらしく羽毛布団はいつのまにかベッドから落ちていて、ぼくは下着姿だった。

 

井上ひさし『自家製 文章読本』を読む。「結局、文章を味はふといふことは、長い言葉の伝統を味はふといふことになるのであります。さうして文章のあらゆる現代的な未来的な相貌のなかにも、言葉の深い由緒を探すことになるのであります。それによつて文章を味はふことは、われわれの歴史を認識することになるのであります。」

 

言葉によって、なにもないどろどろのなにかに名付けることで、世界は生まれる。その杭の打ち方や種類が文化だ。その杭の打ち方を学びつつも、新たに杭を打ち直したっていい。世界の見方を変えることができるのだ。