1月28日

山道にはまだ雪が残っていた。雪の森はとても静かでその佇まいがたまらなく好きだ。雪があらゆる音を吸い込んでいく。白いのに。

帰宅して、夕食の準備をしながら、Youtubeで坂口恭平さんの『頭上』を見ていたら、部屋の執筆中のシーンが映った。そうだ!と、部屋からのけていた机がやっぱりいるなと思って、机をカムバック。そのついでに、部屋を片づけていたら、手の届くところに鈴木一誌『ページと力』があって、ちらっと読む。

「写真は、他の瞬間を切り捨てることによって、ある瞬間を特権化させる。省略によって写真という表象が成立する。いっぽうでは、逆に、皺とかシミを克明に写しだしてしまう。ふだん見えていないものを見せてしまう、写真にはいつも不足があり過剰がある。(中略)自分の身のまわりを見て、つくづく『見たいものだけを見せてくれる』世の中になったな、と思う。」とあった。その章は、「見えないものが見えてきてしまうというのは、一種のノイズだろう。見たくないものを見せられることで、自分自身を発見する可能性がある。ノイズとしてのメディアを到来させなければならない」で終わる。

買ったきり積まれていた本著、めちゃめちゃおもしろい!つくづく、見えていないことは、知らないことだとおもい知る。知っていることしか、見えない。本のこと、知らないことばっかりだ。世の中知らないことだらけだ。だからおもしろい。

「自分の周りに滲み、ボケ、ズレを見ることも、マージナルに身を寄せることになる。」