4月10日

火を焚く。風はどこからかやってくる。音を連れてやってくる。まっすぐ空に立っていた煙は地を這う。風がこちらにやってきた。

 

煙はメディアだ。なにかがあちらからこちらにやってくることを知らせるメディアだ。

 

James BrownのBlimd man can see itを聴きながら、『不思議の国のアリス』を読む。僕たちは僕たちが意味することをたしかに言っているのだろうか。おかしなお茶会で、三月ウサギが「思ったことを言ってくれなきゃ」と言ったら、アリスは「わたしは言ったことを思ったんだ」と答える。アリスがトンネルに落ちたとき、僕も物語の暗示に首を突っ込んだ。アリスを読むときに(いろんな本を読むときに)、ガイドは大事だ。

 

1598夜『不思議の国のアリス 鏡の国のアリス』ルイス・キャロル|松岡正剛の千夜千冊