9月10日

先日友人から、沢木耕太郎『深夜特急』の巻末に、「旅に出る年齢」について書いてあることを聞いた。早けりゃ早いほうがいいというわけではなく、適齢期なるものがあって、社会の作法や矛盾、葛藤を知るであろう26歳に、世界を見るとおもしろいのではないのかといったものだった。そういえば、ぼくは深夜特急を、読んでいないけど持っていることを思い出し、引き出しをあけて、探したら、第1巻だけあって、その巻末を覗くと、そのインタビューがあった。

 

とにかくはじめてみればいいというわけではなく、どこかに行く前に、どの方向に行くかを思索してから、足を踏み出したほうがいい。皆と同じ方向だったり、間違った方向に向かっていたりする。だれもいない方向に道草しながらブラブラしてもいい。そのほうが楽しいでしょ。不安?それもまたいい。

 

「よくいわれているのは、こうなんだけど、わたしがみたのはそれとは違っていたものだった」という文脈で書かれている文章が好きだ。とくに日記でよく見かける。一般化することの大切さはわかっているが、一個人の読者として本を読むときに、学ぶことや楽しさが多いのは、そういった体験を私見で書かれたもののほうががおおい。そこから学ぶのは、自分の見方をしてもよいのだということ。自分の体験とその直感から話せるひとを僕は好きなのだ。だから問う。あなたどうおもうのと。HaimやFirst aid kitが聞きたくなる秋のはじめに。