8月28日

ここ数ヶ月いろいろのことを考えている。やっとこさ、港がどの方角にあるのかわかりはじめてきた。というより、北極星のような目印となる点を見つけた。

 

テセウスはアリアドネに、「もしラビリンスから抜け出せる方法を教えてくれたら、永遠にあなたを愛します」と言うんですね。そこでアリアドネは彼にひと巻きの糸玉を与えた。テセウスは、糸を解きながらラビリンスへ入っていき、帰りにはその糸をたどって出てきた。先生はこうおっしゃいます−「彼が持っていたのは糸だけだった。あなたに必要なのもそれだけだ。」「あなたが自分のアリアドネの糸を見つけるのを手伝うのが、教師の仕事です。」(ジョゼフ・キャンベル「神話の力」より)

 

端的にいうと、アリアドネの糸を見つけるということ。ひとは興味がないことや、知らないことがあまりにも多く、ましてや時間がないからと狼狽している。それらはぼくがおもっていることと、ほとんど合致しないから、それを無理やり、やらそうとするのではなくて、まあ、そんなのどうだっていいじゃないか、とにかく、じぶんが夢中になって、楽しそうにしてたら、気になって聞いてくるのだろうから、がんがん自分が心から楽しいと思うことをやればいい。そこで、アリアドネの糸。

 

ぼくは教師じゃないけど。教えるのではなくて、示すこと。こういうやり方もあるのだということを。ということを、塩を振った鮎を炭で焼きながら考える。The grass is always greener on the other side of the fence. 隣の芝は青く見える。