8月27日

起きたら、昼が過ぎていた。ためている本を読む。コーヒーはイルガチェフェ。コーヒーを飲みながら、ずっと読む。夕食後、鈴鹿山脈を越えて、湯の山の片岡温泉へ。足を伸ばして湯に浸かる。ああ、生き返った、極楽や、と心の中で呟く。日本人は風呂に入って、先の呪文を唱えれば何度でも生き返る。風呂から出て、広い畳の休憩所で、また本を読む。司馬遼太郎「故郷忘じがたく候」を読みきる。16世紀末の朝鮮の役で薩摩軍に拉致された朝鮮の民。それから400年以上を故郷を思いながら鹿児島で過ごす14代目沈寿官のはなし。日本人とは何か、故郷とは何か、受け継ぐとは何か、生きるとは何か。ぼくはこの本が好きだ。おもしろい本には、1)読者自身の私的体験や私見と、2)書きすぎない、読者の想像力にまかせる、このふたつが揃っている。