7月25日

水分を多く含む空気は重く、ちょっとの風では動かない。蒸籠の中で、蒸されているような一日だった。そう感じるのは、盆地にいるからなのだろう。

 

そういえば、京都にいた5年前のこの時期に、ひょんなことからニュージーランドの四人組とカラオケに行ったことを思い出す。ぼくはほとんどカラオケには行かないが、このときは行った。いま考えると、何故かはわからない。そのころの京都は祇園祭の余韻と蒸し暑さが残っていた。それまでカウチサーフィンで連絡取り合っていて、ノーサンキュとなっていたわけだが、なんか悪い気がしてっとわざわざ連絡をくれた。よかったらカラオケに行かない?と。

 

当時ぼくは日本で英語を喋るにはどうしたらいいのか頭を悩ませていた。そんなときに知り合いからカウチサーフィンはどう?と教えてもらった。

 

旅先で見知らぬ日本人を何度も助けてくれたのは、優しい現地のひとだった。そんな人たちに出会えたからこそ、その国が好きになった。だからぼくも日本に来る旅行者が日本が好きになるのは、大げさにいうと、ぼくにかかっていると思った。そういや、どこかで、アウトバウンドとインバウンドは比例すると聞いたな。

 

そもそもカウチサーフィンは旅人が安く旅するためのサイトで、キミんとこのカウチ空いてたら、ただで泊めてくれないか?というものだ。もちろん見ず知らずの旅人を泊めるわけだから、こちらもひと選びは慎重になるし、向こうもそう。だから、ぼくはプロフィールをかなり丁寧に書いた。結局10人くらいの旅人が泊まっていったけれど、なにも問題は起こらなかった。

 

部屋は小さくて古いワンルームだし、トイレはユニットバスだったのに、なぜぼくを選んだのと聞くと、プロフィールを読んで、いいとおもったからとみな口をそろえて言った。素直にうれしかった。

 

話は戻って。当時住んでいた千本丸太町から、自転車で、四条河原町の待ち合わせのゲストハウスまで行き、キャッチの兄ちゃんに粘り負けして、河原町のカラオケへ。洋楽オンリーで、2時間、歌いきって、ぼくたちは別れた。別れる間際に、手作りの正方形のカードをもらった。これは、ニュージーランドの原住民の言葉で、It's peopleと三回書いてあった。そうだ大事なのはひとだ。とこの蒸し暑さの中で、おもったのだった。その思い出が、蒸し暑さとセットで、ぼくの頭にリフレインしていた。It's people. It's people. It's people.

 

そうそう、カラオケで、一番盛り上がったのは、言うまでもなく、Cindy LouperのGirls just want to have funだった。