6月28日

さて寝ようと、電気を消して、目を閉じて、しばらくすると、耳元で、プーン。今宵、奴が現れた。暗闇の中で耳元を叩く。試合のゴングがいま鳴り響いた。どちらかが倒れるまで戦い続けやうではないか。さっと起き上がって電気をつける。これで奴の姿を目視できる。線香に火をつけてあぶり出す。先制パンチ。試合開始から10分。壁にもたれて、奴の好きそうな柔らかい太ももをさらしているが、現れない。

 

いま、布団のなかでぼくは寝ようとおもっている。ぼくは負けを認めよう。もう好きなところを刺してくれ。モスキートよ。