7月21日

8時30分起床。グッドウェザー。『星の王子さま』の王子さまとキツネのシーンが去来する。王子さまは出会ったばかりのキツネに遊ぼうよというと、キツネは王子さまとは遊べないという。キツネは、ぼくは君に懐いていないからだという。(翻訳によっては、「飼いならされていない」バージョンもあるけど、ぼくは「懐く」のほうがすき)王子さまはその感覚がわからないからキツネに尋ねる。「懐くってなに?」と。キツネは絆を作ることだという。絆を作るとは、時間をかけるということだ。

 

スマホのアプリで「ワンクリック」を押したら翌日や数時間後には、なんでもほしいものが手元に届く世の中は便利だ。今日もアマゾンから荷物が届いた。その世界は悪くないし、便利が悪いわけではない。いまさら便利じゃない世界には戻れない。けれど便利と引き換えに失うものがあることには敏感でいたい。すべてのことや、ものや、ひととの関係はインスタントなものではないということ。なんでもそうだけど、あることを習得するには時間が必要だし、ひとと友人になるにも時間は必要だし、自分のお気に入りになるには時間をかけなければいけない。そんなことを、『星の王子さま』のキツネは思い出させてくれる。

 

師匠が弟子を見るときには、資質をみる。それだけじゃなく、もうひとつ、やる気やモチベーションや熱量を見るとおもう。こいつは本当にそれを学びたいのかどうか。ダイエットを成功させるには、自己との対話と明確な目標設定があってはじめて、適切な運動と食事制限を行うのが王道。世の中は便利になった。その代わりに、ひとのなかから時間をかけることの大切さを奪った。星の王子さまはたいせつなことをおしえてくれる。多読が大事なのはいうまでもない。多読には時間が必要だ。やはり時間の使い方がキーなのだ。現実的に。