6月25日

鉄は熱いうちに打てというし、芭蕉は、松のことは松に習えというし、宮大工の西岡さんは『木の教え』という著書を書いた。それって、そのままの意でも使えるんだけど、もっと大事な教えがあるんじゃないだろうか。

ものの道理をわきまえること。パソコンを使うときのハードウェアの挙動とインターネットの仕組みを、車を運転するときの車の構造を、植物を育てるときの気候や土の多様性を、日々の暮らしの中の家の構造の特徴と自然との関わり方を、料理をするときの食材の性質を、料理を食べに出かけるときの出向く先の自然の成り立ちを、理解することが日々を楽しくすごすコツなのだとおもう。

さて、W杯がはじまっている。サッカー経験者として、このイベントは外せません。日本のサッカーの文化が未成熟なのは、サッカーをうまく言語化できていないからなのだと思う。そこで注目をしているのは、元日本代表の戸田和幸さん。サッカーの試合をどうみたらいいかわからないとき、戸田さんの話はおもしろい。

文化を引っ張るのはいい批評家で、その人たちは、言語化の大切さを知っており、言語によって、世界の見方を変え、人類を進歩させることができると確信しているように思う。やっぱり簡単な言葉で説明するのは愚かだ。その行為や動きなど名前のあるものを表現するのに、適切はあっても、省略はない。そこの手抜きは絶対にダメだ。分からないからもっと簡単に言ってよといわれても、分からせる気概が必要だ。いまこの時代だからこそ日本語の中に突っ込んでいって、新たな意味を見つけだしたい。なおいっそう日本語の中へ飛び込まねば。日本語の中になにかが隠れているということに確信を持っている。

師匠より。「アイデア力やデザイン力というと、なにかスゴいものに感じますよね。でも、基本は他人に説明する力なんです。ですので、まず口頭で相手に説明できることが、大事だと思います。」