5月18日

フィリピンの夏のように、湿り気のある空気が重たくて地表に居座っているような朝だった。昼前は、台風がやってくる直前のような怪訝な空気だった。

 

世の出来事の基本構造として、「おわり」がない。物語と現実の違いのひとつはそこにある。「おわり」がないから、いまラッキーだと感じるのは数分前のできごとがあったからやと思うせいであり、いま不運なことが起こったら、いままでのことの意味はすぐに逆転する。終わりがないから、あるできごとの意味の解釈はころころ変わる。物語や神話が大事なのはちゃんと「おわっていること」にある。なるほど。その仕舞い方で読者の感情の向きを定める。キエラン・イーガン『想像力を触発する教育』、これおもしろい。

 

思えば、仕事をし始めたとき、ええ加減で終わっといてと言われて、ええ加減なんて、最初わかるわけないやんとおもっていた。終わり方がなんとなく分かったとき、なんとか仕事を覚えたような感覚になった。