12月26日

座布団がある。真ん中が少しくぼんでいて、すこし暖かい。少し前に誰かが座っていたのだろう。座布団の横に、小さいサイズの赤いカシミヤのカーディガンがきちんとたたまれておいてある。そこには少し前に、だれかがいて、その誰かの特徴はを示すものは、すくないけれど、それを、想像で補う。おもかげが残っている。目に見えるものだけではない。匂いでもあるし、小さくもあるし、形を変えてもいる。ひとは外部に、ものに、記憶を移した。寄物陳思。そうやって、ぼくたちは、見えない神様に向かって、神社で柏手をうち、そこにいないひとを想像しておもいを馳せる。