11月10日

霜が降りた。


自分の見ている世界と、他人の見ている世界は違う。世界はひとつだけど、見方は多数。声の大きいひとが言うことは、信用できそうだけど、ちょっとでも、ん?とおもったら、自分で考えてみたらいいんじゃないか。空海が大学を中退したように。


あれはああいうものだろと、おもいはじめたら、何かの予兆なのかもしれない。不動の事実はゆるがないと、おもわせられてるだけで虚構や自分の勝手な妄想だったなんてことはよくある。


練習の帰りに、後輩を家まで送った。その道中のやりとり。「いつもなにしてるんですか?」「最近は雨が多かったからひたすら本を読んでたな」「基本家にいるんですか?」「いやそういうわけではないけど、いまはそういう時期で、極端やねん。そろそろ目が外に向いてる」「どんな本読んでるんですか?」

と、本の質問をされたから、そこから後輩の家に着くまでずっと喋り続けてしまった。で、結局いまは「日本とは何か」を知りたくて本を読んでいて、そのテーマに沿って、本を紹介した。「俺も本読んでみよ」っと別れ際に聞いてすこしうれしかった。

日本そのもの、本そのものが、おもしろいのはいうまでもないが、それをおもしろく話せるひとが近くにいない。本以外にもやることがあるなかで、本を選ぶのは、他のものより本が面白くないといけない、というより、本を読むことは面白いねんと語れる人がいないからなのだろう。こと、ぼくはというと、いま本を読んでいる理由はふたつあって、ひとつは、この先本を読む時間はあるだろうけれど、いま読むのと、60歳になってから読むのとではまったくその先の未来が変わってくるとおもっている。だからいまのうちに読みたい、いや読まなければいけないとおもっている。もうひとつは、「いままでそうだとおもっていたことの見方が、簡単に変わる経験」ができることだ。これはめちゃめちゃおもしろい。


ここに書いていては、伝えきれないことを、ぼくは語りたい。そうすれば、百人いたら三人は本好きにできる自信がある。