7月21日

自分を自分で笑いながら見下すなんてだめだ。冗談でも絶対に。絶対に。なにと比べて、そんなに自分を見下すのだ。もっとやるべきことがあるだろ。

 

失敗なんて当たり前だ。やったことがないことなら、できなくて当たり前だ。子どもの頃の自転車のことを思い出せ。自転車に乗りたい一心でそこだけを見ていた。転けたり、失敗したり、周りの目なんかに見向きもしなかった。

 

宮本常一「民族学の旅」より。

 

「地方の人たちが胸を張って中央の人たちと対等に話ができるようになるためにはまず地方の人たちが自分の力を高め、それを評価する力を持たねばならぬ。」

 

「人びとがもっとかしこくならなければいけないと考えた。それぞれの土地に生きている人たちはみなそれぞれにすぐれた生き方をしているが、横へのひろがりがとぼしい。比較と選択する技術にかけている。それにはみんなが文字を読み、文字を通して未見の世界を知り、そこで何がおこなわれているか、われわれはそこから何を学ばねばならぬかを考えねばならぬ。かしこくなるということは物を考える力を持つことであると思う。物を考えるには考えるための材料がなければならぬ。それは周囲にあるものをよく理解し、同時に、もっと広い世界を知らなければならぬ。そしてまず自分の周囲をどのようにするかをお互いに考えるようにしなければならない。そして自分の住む社会の中にリーダーを見出していき、その人を大切にするような社会を作っていくことではないかと思った。どのような村にも浦にもかならずすぐれた人がいる。しかし自分たちの周囲にいる者に対してはそのすぐれた点よりも若干の欠点の方が目についてその人を尊重しないことが多い。」