5月2日

僕は、小山田咲子「えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる」が好きだ。「日常の雑事を全てとりあえず収めるべき場所に収めて(あるいはなかったことにして)深夜にに荷物をまとめ、えいやっと部屋を飛び出す、あの一瞬をやっぱりどうしても愛していると思う。穏やかな日常に幸せを感じるのと同じ強さで今、いなくなりたい。」

 

3時起床。45分出発。まだ暗いが、空はこれから明るくなる兆し。東の空に明るい星が見える。新名神高速から伊勢湾岸道に出て新東名を走る。1時間に1回休憩しながら、東京を目指す。

 

車内はほとんど4つ打ちを基調とした音楽。機械的な車の運転には、4つ打ちがいい。心拍数とbpmとの関係より導き出される・・・いろいろあるがまあいい4つ打ちのリズム、連続するトンネル、まばらな車、恍惚。朝の光が窓をさす。霊的なあの感覚が目覚める。たまらない。

 

6時頃にはもうずいぶんと明るくなった。朝に、太陽に向かって運転するのはこのうえなく気持ちがいい。 御殿場で降りて、下道で鎌倉を目指す。箱根の山を越え、硫黄のかおる小田原をすぎ、太平洋側へ。 海沿いの道をずっと走る。窓から入ってくる風が気持ちがよいと言いたいけれど、現実は大渋滞。茅ヶ崎とか江ノ島とか。普段、海のない場所で暮らしていると、たまに無性に海が見たくなる。ただそれだけのために、下道を走ったわけだ。鎌倉から高速に乗る。

 

携帯のGPSがわりとゆっくりしているので、東京の高速道路のインターチェンジには散々苦労したが、なんとか東京に到着。本日は世田谷に泊まる。車を乗り捨てて、さっそく、神保町へ行く。欲しい本を探しに。料理と山、歴史と民族、アートと写真家、小説と戦後。ここは、カオスだ。カオスのようだけれど、よく目を凝らして見ると、それぞれ好みがあるのがわかってくる。それに気づくまで、3軒ほどまわった。丁寧な陳列から意味深な横積みの山。ここには、検索窓がないから、直感が必要だ。探せば、ほしい本がある。量子力学がここにも働くのか。というわけで、猪谷六合雄「雪に生きる」と、ウィリアム・バロウズ「裸のランチ」の初版を手にした。

 

 

本を抱えて(2冊だけど)、東京駅から丸ノ内線へ向かって歩く。イヤフォンの音量を大きくする。周りの音がほとんど聞こえなくなる。その瞬間、景色が動画に見えはじめる。動画は、音楽によって見え方が変わる。ベースラインと、人間模様と、スーツと、電車。Lou ReedのWalk on the wildsideを聞く。東京の日が暮れていく。doo,doo,doo,doo,doo,doo,doo