2月8日

仕事中に考え事をしていたら、ミクロネシアの古代航海術の話が頭をよぎった。家に帰って、石川直樹の「すべての装備を知恵に置き換えること」を読み返した。「時にぼくたちは流れに逆らい、あるいは流れにのって、それぞれの時代を生きている。流れを把握することは大切だが、それにのるかのらないかは自分の目指すべき方向次第なのだ。常に自分がいる場所を冷静に把握している航海者たちは、漂流しても自分が進むべき道をおのずと見つけることができる。」

 

ミクロネシアの古代航海術では、何の目印もない見渡す限りの海に、地図やコンパスを持たずにいても、波のうねりや星、風の向きなどを頼りに、自分のいまいる場所、向かっている方向がわかるという。

 

件のジョブズの映画を見た。僕たちは、価値観という、得体の知れないものに従って、生きている。たとえば、最新というのは、そのものが生まれた時間を順番に並べただけなのに、それの順番にあたかも、ものすごい価値があると思い込んでいる。

 

だから、僕たちの聴く音楽は、いつ発表されたかで聴くより、そのハーモニーやリリックスつまりいかに美しいかで聴くべきだろう。

 

僕たちは、価値観という刃を腰に据えて暮らしている。みんなそうでしょと思いながら。

 

ソロー「森の生活(下)」の続きを読んでいる。